この記事では、精神疾患を15年以上抱えている筆者(精神障害者保健福祉手帳2級所持)が、実際の経験をもとに
- 精神障害者保健福祉手帳とは何か
- 持っていることでどんな支援や制度が使えるのか
について紹介します。
筆者の利用経験も含めた手帳の申請や更新の流れ、等級ごとの違い、税金・交通・レジャーなどの割引制度。
そして手帳を忘れたときに役立つ「ミライロIDアプリ」など、生活の中で実際に役立つ情報をわかりやすくまとめました。
- 精神障害者保健福祉手帳の対象者と等級の違い
- 申請から更新までの流れや必要書類
- 税金・交通・公共料金・レジャーの支援制度
- 就労支援や雇用枠の基本情報
- 手帳を持ち歩かなくても提示できる「ミライロID」アプリの活用法
精神障害者手帳は、病気と向き合いながら暮らす中で、生活の不安を少しでも減らすためのサポートツールです。
「自分も対象かもしれない」
「どんな支援があるのか知りたい」
と思う方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
精神障害者保健福祉手帳の概要

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患を持つ人が社会の中で安心して生活できるよう支援を受けるための公的な証明書です。
この手帳を持っていることで、
- 税金の控除
- 交通機関・公共料金・レジャー施設の割引
など、さまざまなサポートを受けられるようになります。
精神障害者保健福祉手帳の対象者と対象疾患

この手帳の対象となるのは、精神疾患によって長期間にわたり日常生活や社会生活に制限がある方です。
医師の診断書などをもとに判断され、厚生労働省では以下のような疾患が対象とされています。
主な対象疾患例
- 統合失調症
- 気分障害(うつ病・双極性障害など)
- てんかん
- 発達障害(自閉スペクトラム症など)
- 非定型精神病
- 器質性精神障害
- その他、日常生活に著しい制約を受ける精神疾患
この記事は専門家ではなく、精神疾患を持つ筆者が自身の経験をもとにまとめています。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html
等級の違い(1級・2級・3級)

精神障害者保健福祉手帳には3つの等級があり、受けられるサービスや支援内容が異なります。
どの等級になるかは、医師の診断書の内容をもとに都道府県が審査して決定します。
- 1級:日常生活に著しい制限があり、常時支援が必要な状態
- 2級:社会生活に著しい制約があり、支援があれば生活できる状態
- 3級:就労や社会生活に一定の支障があるが、支援により自立が可能な状態
手帳の作り方(申請の流れ・必要書類)

精神障害者保健福祉手帳は、主治医の診断書といくつかの書類をそろえて市役所などに申請します。

私も最初は「手続きが難しそう」と思っていましたが、実際にやってみると流れはそれほど複雑ではありませんでしたよ。
手続きの流れ
(注意)精神障害での障害年金をもらっている場合は、診断書が必要がない場合があるので市の福祉課に前もってといあわせおこう。

筆者も障害年金の年金番号を伝えたら、診断書なしで手続きができたよ
診断書を書いてもらうには、5000円程度の費用が必要なので年金をもらっている場合は、その費用を節約できる可能性があるよ。
(地域によって異なる)
交付が決定すると通知が届き、窓口で受け取るか郵送で受け取るかを選べます。
必要書類
- 医師の診断書
(初診日から6か月以上経過しているもの) - 写真
(目安として縦4cm×横3cm・6か月以内) - 本人確認書類
(マイナンバーカードや運転免許証など)
注意点
- 診断書料は地域や医療機関によりますが、筆者は5,000円ほどでした。
- 精神障害で障害年金を受けている方は、年金証書番号の提出で診断書が不要な地域もあります。
手帳の更新方法と注意

手帳の有効期限は2年です。更新時には再度診断書が必要になります。
ただし、障害年金を受けている場合は、年金等級が手帳に反映されるため、診断書が不要となるケースもあります。

更新に2か月程度かかることが多いため、早めに更新手続きをしておくのがおすすめです。
- 診断書料(3,000〜5,000円ほど)がかかる
- 障害年金を受けている場合、診断書を省略できることもあるので、市の福祉課に確認してみましょう。
- 有効期限前に余裕を持って申請するのがおすすめ
更新が間に合わないと、手帳がない期間ができてしまうので注意しよう。
精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリット

精神障害者保健福祉手帳には、生活を少しでも過ごしやすくするためのさまざまな支援があります。
筆者自身も、手帳を取得してから「思っていたより便利だな」と感じる場面が多くありました。
ここでは、手帳を持つことで得られるメリットと、知っておきたい注意点(デメリット)について紹介します。
制度の内容は地域や等級によって違う部分もあるので、筆者の実体験をまじえながらわかりやすくまとめました。
メリット
精神障害者保健福祉手帳を持つことで、生活の中で助かる支援や制度を受けられるようになります。
筆者自身も、手帳を取得して「持っていてよかった」と感じる場面が多くありました。

ここでは、筆者が実際に感じたものを含め、手帳を持つことで得られる主なメリットを紹介します。
- 障害者手帳を持つと受けられる
【税金の控除や減免】 - お得に使える
【マル優(少額貯蓄非課税制度)】 - 条件を満たすと利用できる
【公共料金やNHK受信料の免除】 - 2025年4月から始まった
【交通機関の割引制度(JRなど)】 - テーマパーク・レジャー施設での
【入場料の割引】 - 体調に合わせて働ける
【就労継続支援A型・B型の利用】
それぞれを、筆者の体験も交えながら紹介していきます。
税金の控除や減免
手帳を持つことで、所得税・住民税に障害者控除が適用されます。
対象:本人か、扶養している家族
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 一般の障害者 (多くの精神障害2級・3級) | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 (1級) | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者 (特別障害者と同居) | 75万円 | 53万円 |
また、自動車税や軽自動車税が減免される場合もあります。
ただし、精神障害の場合は1級が対象となることが多く、2級では対象外の地域が多いと思います。

条件は都道府県によって異なるため、住んでいる地域で確認してみてくださいね。
- 会社に源泉徴収してもらっている場合は、会社にいって控除してもらう
- 自分で確定申告する
マル優(少額貯蓄非課税制度)
手帳を持っていると、預貯金や国債などの利子が非課税となるマル優制度を利用できます。
(元本350万円までが対象)

手続きをすれば、定期預金の利子にかかっている税金を非課税にすることができますよ。
銀行や郵便局で手続きができ、少しでも将来の備えにつながります。
公共料金やNHK受信料の減免
非課税世帯などの条件を満たすと、NHK受信料が全額免除される場合があります。
また、電気・ガス・水道の基本料金が割引になる地域もあります。
制度の内容は自治体や契約会社によって異なるため、利用前に確認が必要です。

携帯電話も割引がある会社もあるけど、筆者はその携帯電話の割引プランの方が安いのでそちらを利用しているよ。
交通機関の割引
バス・タクシー・電車などの公共交通機関で手帳を提示すると割引を受けられる場合があります。
(各会社によるので確認してくださいね)
2025年4月からはJRグループ全体で精神障害者手帳を対象とした運賃割引が開始されていますよ。
| 区分 | 該当等級 | 割引条件 | 割引率 |
|---|---|---|---|
| 第1種(本人+介護者) | 手帳1級 | 本人と介護者1名が同一区間を利用 | 50% |
| 第1種・第2種(本人のみ) | 手帳1〜3級 | 片道100km超の区間を1人で利用 | 50% |
テーマパーク・レジャー施設の割引制度
テーマパーク(ディズニー・USJなど)や動物園・水族館で手帳を提示すると、入場料の割引を受けられることがあります。
「●●(施設名) 障害者割引」で検索すると、対象施設を確認できます。
表示がなくても、スタッフに聞くと対応してもらえることもあります。

筆者も値段のところに書いてないけど、聞いたら割引を受けれたことが結構ありましたよ。
就労継続支援A型・B型で仕事や生活に慣れる支援が受けられる
精神障害者保健福祉手帳を持っていると、一般就労が難しい人でも、体調に合わせて働く機会を得られる制度である、
就労継続支援A型・B型という福祉サービスを利用できます。
| 項目 | 給料 | 就労内容 |
|---|---|---|
| A型事業所 | 府や県が定める 最低賃金前後 | 勤務時間は柔軟に調整でき、 支援員が体調や人間関係のサポートをしてくれるため、 リハビリ的な就労が可能です。 |
| B型事業所 | 1日500円程度が多い | 通所日数や作業時間を自由に決められるため、まず社会とのつながりを持つ一歩として利用する人も多いです。 |
家庭の収入によって利用料が発生する場合があるので、利用前に注意が必要。
利用料は市の福祉課で確認ができるよ。
非課税世帯では無料、課税世帯では月上限(9,300円など)が設定されているケースが多いです。
多い世帯では37,200円の利用料が必要になります。

筆者も、夫の収入が減ったときに備えてA型事業所での働くことを検討しています。
病気の状態や生活リズムを見ながら、自分に合った形で働ける選択肢があるのは安心要素ですよね。
デメリット(注意点)
- 診断書などの手続きに費用がかかる
- 制度内容に地域差がある
- すべての支援が全等級に対応しているわけではない
- 申請・更新には時間と準備が必要
手帳を忘れても助かる「ミライロID」アプリ
今は、障害者手帳を持っていても紙の手帳を持ち歩かずにスマートフォンで提示できるようになっています。
それを可能にするのが、「ミライロID」というスマートフォンアプリです。

このアプリに手帳情報を登録すると、スマホの画面を提示するだけで手帳の代わりとして使えますよ
交通機関や映画館、テーマパークなどで対応が増えており、筆者も実際に利用して助かったことがあります。
- 手帳情報(障害の種類・等級・有効期限)を登録できる
- 紛失や忘れたときの代わりとして提示可能
- 利用できる施設をアプリ内で検索できる
- 定期的に対応施設が増えている
ただし、すべての施設が対応しているわけではありません。
【注意】「障害者手帳が使える」施設でも、ミライロIDが利用できない場合があります。
それでも、スマホひとつで証明できるのは大きな安心です。
注意点として、手帳情報の登録から反映までに約1週間かかることがあります。
早めに登録しておくとスムーズに利用できます。
まとめ
精神障害者保健福祉手帳は、病気を抱えながらも安心して生活を続けるための大切なサポートツールです。
取得することで、税金の控除や交通機関・公共料金の割引など、さまざまな制度を通して生活の負担を少し軽くすることができます。
この記事では、次のような内容を紹介しました。
- 手帳の申請から更新までの流れ
- 等級ごとの違いと判断基準
- 受けられる主な支援(税金・交通・レジャー・雇用など)
- ミライロIDアプリを使った手帳提示の新しい形
- 就労支援A型・B型や障害者雇用枠の働き方
制度の内容は地域によって異なりますが、知っておくだけでも選択肢が広がります。
無理にすべてを使いこなす必要はなく、「自分に合うものを少しずつ取り入れていく」だけでも十分です。
筆者自身も、手帳を持ったことで「意外と助かる制度が多い」と感じるようになりました。
この記事が、同じように悩んでいる方が一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

