精神疾患とともに15年以上を過ごしてきた筆者は、現在1日に14錠のお薬を服用しています。
そんな生活の中で、飲み忘れや飲みすぎ、薬の管理がうまくいかない不安を何度も感じてきました。
- 「飲んだかどうか忘れてしまう」
- 「気分が落ち込むと一度にたくさん飲みたくなる」
- 「薬の数が多くて整理ができない」
こうした悩みを持っているのは、筆者だけではないと思います。
多くの方が同じように、日々のお薬との付き合い方に悩みや不安を感じているのではないでしょうか。

筆者自身も試行錯誤を重ねながら、無理なく続けられるお薬の管理方法を少しずつ見つけてきました。
この記事では、筆者が実際に行っているお薬の管理方法を紹介しながら、同じように不安を感じている方が少しでも安心できるよう、体験をもとにまとめています。
- 飲み忘れや飲みすぎを防ぐための具体的な工夫
- 訪問看護や家族と協力して服薬を続ける方法
- 過量服薬(OD)が起きてしまったときの対応
(公的医療情報をもとに)
お薬との付き合い方に不安を感じている方へ、少しでも安心して薬と向き合う機会になればと思い、この記事を書かせていただきまいた。
ぜひ、ご覧ください。
精神疾患とお薬の関係

精神疾患の治療では、お薬を飲み続けることが必要になることがあります。
けれど、筆者自身の経験として、次のようなことに悩んだ時期がありました。
- 体調や気分の波があるときは、薬を飲み忘れてしまう
- 頭がぼんやりして集中できず、飲んだかどうか思い出せない
- 同じような薬がいくつもあり、どれを飲んだのか混乱してしまう
筆者も「ちゃんとしなきゃ」と思っていても、体調が悪い日や気分が沈んでいる日には、どうしても思うようにいかないことがありました。

失敗を重ねながら感じたのは、お薬の管理は自分の努力だけでは難しいということです。
だからこそ、自分を責めるのではなく、安心して続けられる仕組みを作ることが大切だと思うようになりました。
その経験から今では、次のような工夫をするようになりました。
- 薬の飲みすぎを防ぐ工夫
- 薬の飲み忘れを防ぐ工夫
これから、筆者が実践しているお薬の管理方法を紹介しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
飲み忘れ・飲みすぎを防ぐ工夫

筆者自身、長くお薬と付き合う中で「毎日きちんと飲むことの難しさ」を何度も感じてきました。
体調や気分の波があるときは、思うように管理できないこともあります。

少しずつ工夫を重ねることで、自分に合った続け方が見つかってきました。
自分を責めるのではなく、工夫で支える。
ここでは、筆者が実際に試して効果を感じたお薬の管理の工夫を紹介します。
- お薬カレンダーやピルケースを使う方法
- アラームや服薬アプリを使う方法
- 訪問看護師を活用する方法
- 家族・支援者と協力して管理する方法
お薬カレンダーやピルケースを使う
お薬カレンダーやピルケースを使うことで、曜日や時間ごとに薬を分けて整理できます。
「今日の分を飲んだかどうか」が一目で確認でき、混乱を防ぎやすくなります。

100円ショップやドラッグストア・処方箋でも手に入るため、気軽に始められます。
お薬カレンダーには、2種類のポケットタイプがあります。
- 「日にちごとのタイプのもの」
- 「曜日タイプ」で朝・昼・夕・寝る前のポケットがある
精神疾患の場合、朝・昼・夕・寝る前(眠剤も管理できる)曜日タイプが筆者的にはおすすめです。
アラームや服薬アプリで通知を設定する
スマートフォンのアラームや服薬管理アプリを使うと、決まった時間に通知で知らせてくれます。
記録機能があるアプリで「飲んだ/飲んでいない」を管理すれば、通院時に医師へ伝える際にも役立ちます。

筆者はiphoneのアラーム機能で、お薬の時間を設定しているよ
Phone標準アラーム・リマインダーの使い方
ホーム画面にある「時計」アイコンをタップします。
(例:朝7:00、昼12:00、夜20:00)
→ 例:「朝の薬」「夜の薬」など。
→ 朝・昼・夜で違う音を設定すると分かりやすいです。
訪問看護師を活用する
一人では管理が難しいと感じる場合、訪問看護師にサポートを依頼できます。
訪問看護では、看護師が自宅を訪問して服薬の確認を行ったり、必要な分だけをまとめて渡してくれたりします。
また、飲み忘れや体調の変化を一緒に確認してもらえることもあり、安心して過ごせます。

訪問看護は自立支援が使える制度なら対象者なら安い料金で利用ができますよ。まずは医師に相談してみてくださいね。
利用を希望する場合は、主治医や地域包括支援センターに相談してみましょう。
家族や信頼できる人と協力して管理する
身近な家族や信頼できる人に協力をお願いすることも有効です。
- 必要な分だけ手渡してもらう
- 残りは鍵付きの箱に保管してもらう
- 一緒に服薬を確認する習慣を持つ
薬の管理を「自分一人ですること」と思い込まず、支えを受けながら続けることが安全にもつながります。
過量服薬(OD)の危険性を知っておく

薬を定められた用量以上に飲んでしまう「オーバードーズ(OD)」は、体に深刻な影響を及ぼす危険があります。
東京都立病院機構の解説によれば、ODには以下のようなリスクがあります。
- 吐き気・嘔吐・意識障害
- 致死的不整脈・呼吸抑制・心肺停止
- 肝臓・腎臓への障害
- 薬物への依存性・耐性の形成
薬が体内に過剰に取り込まれると、肝臓や腎臓が大きな負担を受け、機能不全になるおそれがあるそうです。
また、中枢神経や循環器系へ強い影響を与え、命に関わる症状が現れることもあります。
(参考:東京都立病院機構「オーバードーズ(OD)ってなに?」)

筆者は医療知識はないので、病院等のサイト情報をもとにまとめたものです。ご了承ください。
辛いときに「お薬をまとめて飲んでしまう」場合の対策

精神的に追い込まれているとき、「一気に飲めば楽になるかも」と思ってしまうことがあります。
しかし、それは非常に危険な行為です。
ここでは、そうならないための対策と、もし飲んでしまったときの対応を紹介します。
本人が自分で管理しないようにする
- お薬は家族や支援者が必要な分だけ渡す
- 残りは鍵付きの箱や金庫に保管する
- 訪問看護や地域支援サービスで見守りを受ける
もしお薬を過剰に飲んでしまったときの対応(参考情報)
以下は、医療機関・専門機関が示している対応例をもとにした内容です。

筆者は医療関係者ではないため、参考としてご覧い下さい。
必ず医師や救急対応の指示に従ってください。
119番通報
意識がない、呼吸が弱い、激しい嘔吐や異常な反応があるときは、すぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
病院・主治医に連絡
飲んだ薬の名称・量・時間をできるだけ正確に伝えて、指示を仰ぎましょう。
救急処置(医師判断による)
以下のような処置が行われる可能性があります。
- 胃洗浄:服用後一定時間以内であれば、胃内容物を除去する処置として検討されることがあります。
(参考:日本臨床救急医学会) - 活性炭投与:薬の吸収を抑えるために使用されることがあります。
(参考:MSDマニュアル プロフェッショナル版) - 点滴・全身管理・解毒薬の投与:血液循環や呼吸などを保つ処置、薬の排出を助ける治療が行われることがあります。
(参考:和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座)
家族や周囲の人ができること
搬送や対応の際には、以下のようなサポートが役立ちます。
- 飲んだ薬や残薬をまとめて救急隊や医療者に渡す
- 飲んだ時間や量など、分かる範囲で整理して伝える
- 本人が不安定な場合は、落ち着ける声かけを心がける
これらの処置や対応は、薬の種類・量・服用からの時間・本人の状態によって異なるようなので、迷ったときは、自己判断せずにすぐ医療機関へ相談・受診してくださいね。
怒らず、安心させてあげることが何より大切
過量服薬が起きたとき、驚きや怒りを感じるのは自然ですが、どうか怒らないであげてください。
それは、苦しさを止めたいというSOSの表れかもしれません。
「よく生きていてくれたね」
「もう一人で抱えなくていいよ」
そうした言葉が、再び生きようとする力になります。
そして、本人も自分を責めないでくださいね。
「迷惑をかけた」「情けない」と感じるかもしれませんが、それほどまでに心が苦しかったのだと思います。
きっと、助けを求めるサインだったのではないかと筆者は感じています。

筆者も、辛すぎると自分を傷つけたい衝動が出てしまうことがあります。
けれど、そんな時に責められてしまうと「逃げ場がなくなった」と感じてしまうのです。
専門家ではありませんが、筆者としては、本人を責めるのではなく、どうかお薬の管理をまわりの人がサポートしてあげられるようになってほしいと願っています。
もちろん、サポートする人にも生活があり大変な事もあり、自分も辛いのに…という気持ちになることもあるかもしれません。
しかし、病気を持っている本人もそれを感じており、だから弱音を吐けずSOSを出せなかったりします。
決して、精神疾患を持っている人がサボったり、甘えているわけではないことを少しでも理解していただけたらうれしいです。
まとめ
お薬の管理は、思っている以上に難しいものですよね。
とくに精神疾患を抱えていると、体調や気分の波、集中力の低下などから「わかっていてもできない日」があるのは当たり前のことなんでしょうが。
筆者自身も、たくさんの失敗をしながら、少しずつ自分に合った工夫を見つけてきました。
- お薬の管理は「努力」だけでなく、「仕組み」で支えることが大切
- 飲み忘れ・飲みすぎを防ぐには、道具やアプリをうまく使う
- 一人で抱えず、家族や支援者と協力することで安心につながる
- 過量服薬が起きたときは、怒らず・責めずに早めの受診を
お薬を安全に続けるためには、自分だけで抱え込まない工夫やサポートを取り入れることが大切です。
必要なときは医療機関や支援サービスに相談しながら、少しずつ生活の中で整えていきましょう。
また、このブログでは、筆者自身の精神疾患の経験をもとにした生活の工夫や心の整え方、支援制度の情報なども発信しています。
同じように悩んでいる方や、そのご家族の支えになれたらうれしいです。


